= 車人生片道切符編 =


FAXで送られてきた地図を頼りに第三京浜港北ICから15分ほどの工場を訪れた。工場の入り口を見てちょっと腰が引けた。整備工場というよりは 解体屋状態。工場の横には十数台の屑みたいな車(後から考えれば大事な部品取り)が置かれ、工場の周辺にも朽ち果てたボロボロの車が何台も。 バラックな作りの建物には、普通の空気式ジャッキ3台と塗装ブースしかなく、完全に町工場状態。ところがよくよく見ると中には初代ロータスエランが 宝石のように磨き上げられて整備中であり、MGBやオースチン等が整備を待っている。ロードスター乗りの間では有名な北川製作所の社長が親しげに訪れ、 カバーのかかった車をこっそり覗いてみると、マセラッティ・メラクSSだった。工場の社長と2時間ほど色々話し込んだ。自分が何をしたいか、この車を どの様に乗ってきて、これからどの様に乗りたいかを。また、将来はレストアしてでも乗り続けたいという事を伝えた。代わりに古い車、古くなっていくで あろう車をどう乗って行くべきか、それから社長の経歴も少しだけ聞いた。短い時間だったけれど、この人になら任せてもいい、そう思っいはじめていた。 なによりも、エンジンオーバーホール30万、ATオーバホール25万、合計60万以内で納めてくれると言う価格設定に負けた。但し、作業中に発見した 不具合のために+10万はみて欲しいとも言われ、その考え方に共感した。それからが私のPIAZZA大改装の始まりだった。

いずれにせよ、この時点で60万(予算は70万とってあった)もの金額をつぎ込むのだ。一応自問自答してみたが無駄だった。すでに答えは明白に出ている。 事故等で修復不能になるまで、この車体に乗り続けようと。基本的になおして治らないモノはない。走れる内はこいつと走ろうと。飾りモノにするのは趣味では 無いから、下駄代わりにバンバン乗るし、高速で月に1回1000キロだって走る。整備をこまめにして、音や振動や挙動に注意を払い、常に気に掛けてやれば 十分何年だって乗り続けられるさ・・・。

そう、この車を選んだ時から、すでにおいらの中では片道切符だったのだから。


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