= かっぱぎの儀 =






これはイカンと、やってることはシロウトだが 別の分野ではそこそこ道具も材料も揃っている私は、部屋に戻りありったけの準備をして戻ってきた。まず剥離剤付属のヘラは厚さ有りすぎる。 不要なPHSのバッテリーカバーの角を薄くそいで作った特製ヘラで再度挑戦。今度はうまい具合に指先でつかめるくらいのとっかかりが出来た。 そのとっかかりを指先でつまみ、ドライヤーで熱しながら偏った張力がかからぬよう慎重に引っ張り、無事残っているステンシル『表面』が 剥がれた。そう、はがれたのは表面だけ。すべてに置いて粘着剤が残ってしまったのだ。こうなったら次は溶剤の登場だ。溶剤といっても 過激な物は使えない。いくら私がそのスジでは高く売り買いされてしまうような甘い香りの溶剤を持っているとはいえ、いきなりそんなもん ぶっかけたら何が起こるかわからないし、私にも何が起こるかわからない。(注:その様な物の香りを楽しむ趣味は以前からありませぬ) ここで取り出したのが、灯油・ピッチクリーナ・CRC5-56・TAMIYAクリーナースプレー・シュアローション(シュアラスターの前処理剤)である。 まず石油。粘着面の表面柔らかくなる物の、即効性の効果ナシ。次にピッチクリーナー。これはなかなか効きが早く、特に古い粘着面を柔らかく するにはよかった。次に良かったのはTAMIYAのクリーナースプレー。ラジコン用のアルコールスプレーなのだが、これが表面を剥がした後のまだ 比較的柔らかい粘着面には効果てきめんであった。さらには、ピッチクリーナを散布して少し柔らかくなったところにクリーナースプレーを お見舞いしてやると、これがまた粘着面がまるで垢スリの用に固まってぽろぽろ落ちる。そこを一気に設計関係文具の王者、ステッドラーの 消しゴムでごしごしやってやると、ヤツらは降参しましたとばかりに崩れ去って行った。あとはシュワローションにて余計な汚れ等を落とし、 模型用の3000番液体コンパウンドでまだ塗装面がやつれていない綺麗な表面を出してやった。



しかーし、ここでまた衝撃的な事実発覚(大げさ)。数年前にポリマーシークを掛けたのだが、当然当時はステンシルの上からかけていたため、 今回ステンシルだけ剥がすと、うっすらと1段ほど下がってしまう。つまりはステンシルのあった場所がそのままぼんやりと見えて しまうのだ。こりゃ、同じ場所にきっちり貼らないと非常に格好が悪い。シュワローションなんぞでこすってみてもびくともしないのだから まじめに剥離してやらないとダメだ。とりあえずその周辺のポリマーシークの剥離はあきらめて、あらかじめ位置決めの為に貼ってあった マスキングテープの位置を若干修正した。ここまでの作業時間は約3時間。ステッカー剥がしを使っていた初めの1時間は余計だった。

あとは位置に気を付けながらズンズンと貼っていくだけである。まずはクオータウインドウ下の文字から。 これは金色のカッティングシートをプロッタカッターで切り出したものらしい。再生産されたものらしく、いまいち文字の形が雑であった。 元のステンシルの位置に気を付けながら貼ろうとするも、文字の間隔等が微妙に異なっているらしくぴったりには合わない。 跡が目立たないギリギリの位置で無理矢理貼り付けた。ま、こんなもんだろう。 次は大物のテールのPIAZZA NEROの文字。これは透明素材に金色のストライプが印刷されているもの。1枚の長さが長い為、位置あわせが かなり難しい。印刷物だからそれほど元との狂いは少なかろうと思ったが、これもまたそこそこずれている。慎重にセンターを合わせ、 左半分から貼り始めたのだが、右半分の台紙を剥がすときに心持ち右下がりに力が入ってしまった!もう後戻りは出来ないし、このまま行くと 完全に右側が下がってしまう。微妙に右側を上に引っ張り上げつつ、ひどく目立たない程度に右上側に軌道修正。あとは半ばあきらめつつ貼り付け終了。 あ〜あ、右に行くほどエンブレムにうっすらと近づいて、遠巻きにみれば見るほど、傾いてるのがよくわかる・・・(泣) あとはISUZU文字。これも透明素材に金色で印刷。小さいので位置合わせも簡単で、キーホールをセンターにしつつ1発で完了。 斯くして半日に渡るステンシル貼り替え作業は、遺恨を残しつつも終了しただった。



後日、板金修行中の友人に聞くと、どうも板金屋では位置合わせなんか楽勝にやっちゃうらしい。そのからくりを聞いてみると・・・ まず、台所用洗剤(中性)をバケツ一杯の水に軽く泡立つ程度にまぜ、ステンシルを貼る面にじゃぶじゃぶかける。もちろんこの時 車体は冷えている必要がある。熱くてはすぐに蒸発してしまうから。次に、濡れている車体に貼ろうとするステンシルの台紙を剥がし、 『適当』に貼り付ける。その後、洗剤入りの水のおかげでステンシルは車体表面をスルスルと移動が可能になっているため、目的の位置まで 動かし、位置決めをしたらスクレイパー(ゴムヘラみたいな物)で内部の水をかき出してやる。あとは水分が蒸発すると本来の粘着力が有効となり、 完全に乾いた後に残った洗剤等の汚れを水洗いしてやれば終わりだそうな。自分ではまだ試したことはないけれど、こりゃ簡単に且つ確実に出来そうだ。 次に何か貼り直すときは是非ともこの技を使ってみようと思う。(って、もっと早く聞いておけばよかった。とほほ・・・)


無事(?)復活。


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